研究室のお知らせ
2022年06月18日に北海道文教大学にて実施されました日本食品保蔵科学会第71回大会と、2023年1月30日に本学で実施されました農学セミナーにおきまして山田教授が『そば粉100%グルテンフリーパン』に関する発表を行いました。
現在、小麦や大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質であるグルテンに対する遺伝性の不耐症で、小腸の粘膜に特徴的な変化を起こすことによって吸収不良を生じさせるセリアック病や、小麦アレルギーなどのグルテン関連障害が世界的に問題となっています。そして、グルテン関連障害患者のためのグルテンフリー食品、特にグルテンフリーパンの研究開発が世界各国で行われています。現在我が国では、セリアック病の有病率は高くはないが、今後さらなる食の欧米化に伴なって、同疾患の罹患者が増加する可能性が示唆されています。
我が国では、そばはアレルゲンとしての表示が義務づけられる特定原材料に指定されていますが、「令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」によれば、小麦が原因物質であった症例に対して、そばのそれは、かなり少ないものでした。また、小麦アレルギーとそばアレルギーは交差することはなく、海外ではそばを用いたグルテンフリー食品の研究開発が盛んに行われています。これらのことから、山田教授は、そば粉はグルテンフリーパンの材料粉として有用であると考え、研究を進めています。
この度は、そば粉にはどういう種類の物があり、現段階で最も有望ではないかと考えられるそば粉の特性と、パン製造時の課題について報告しました。
【そば粉の種類】
一番粉(更科粉):内層粉
そばの実の中心部分の胚乳のさらに
中心部が主体、成分はでんぷん。
二番粉:中層粉
胚乳と胚芽の一部が主体。
三番粉:表層粉
胚乳の一部と胚芽と種皮(甘皮)の一部。
挽きぐるみ
抜き実もしくは玄そばを直接ひいた粉。(全層粉、全粒粉)