Interview

病院の管理栄養士として、栄養の力で患者さんを支えたい

西森 美羽さん ー写真:IMG_0109_3
写真:IMG_0109_3

関西医科大学附属病院 管理栄養士
2023年度卒業


― 現在の仕事について

患者さんの身体状況や病態に基づいて栄養状態を評価し、食事内容の調整や、糖尿病・腎疾患・循環器疾患・肥満・消化器系の術後などに応じた栄養指導を行っています。

私の勤務する病院には現在17人の管理栄養士が在籍しています。カルテから患者さんの既往歴を確認し、適切な食事を提供できているか(塩分制限や糖尿病食が必要かなど)をチェックします。糖尿病や腎疾患など、患者さんの疾患に合わせた食事を提案します。看護師さんがカルテに入力した情報をもとに、患者さんがどの程度、食事を食べられているかを確認します。食事量が少ない場合には、患者さんと直接お話しし、通常の食事が摂りにくいときは、ご飯をお粥に変更したり、栄養補食食品の付加を提案しています。さらに、薬物治療の影響で食事摂取量が低下している場合は、麺類などへの食事内容の変更を検討します。また、月1回程度、外来の患者さんを対象に、集団栄養指導を実施しており、その担当も務めています。

私は管理栄養士として、患者さんを直接サポートできることに大きなやりがいを感じています。食事は治療の一環であるだけでなく、入院中の楽しみのひとつでもあるため、その部分に関われることは非常に魅力的です。特に、食欲が低下している患者さんに合わせて食事を調整し、摂取量が増えることで、病気の回復を栄養面から支えられるのは、大きな達成感があります。

摂南大学在学中には、ゼミ活動を通じて地域の方々と交流する機会がありました。そこで培ったコミュニケーション能力は、現在の仕事にも活かされており、患者さんと接する際に、非常に役立っていると感じます。


― 大学時代を振り返って

1年生の頃はコロナの影響で思うように大学生活を楽しむことができませんでしたが、徐々に登校する機会が増え、友人と過ごす時間も増えたことで、次第に充実した日々を過ごせるようになりました。

大学での思い出で最も印象に残っているのは、新しい友人との出会いです。ゼミ室で開催したクリスマスパーティーやチョコレートフォンデュパーティーは、とても楽しい思い出です。一期生として、新しくきれいな校舎で過ごせたことも特別な経験です。多くの専門的な知識を学べたことは、現在の仕事につながる大きな糧になりました。さらに、国家試験に合格できたことは、努力が実を結んだ瞬間として深く心に刻まれています。

大学の授業で特に印象に残っているのは、仲間と協力して作り上げた給食の大量調理です。献立の立案から、役割分担や作業工程の設計まで実践的なプロセスを経験できたことは、非常に貴重で有意義な学びとなりました。食品栄養学科には、実際に体験できる印象的な実習が豊富にありました。食品加工学実習では、パンやうどん、ヨーグルトなどを自らの手で作りながら、楽しさの中にしっかりと学びのある実践的な授業を経験することができました。将来、栄養学や食品関連分野での活躍を目指す方にとって、食品栄養学科は非常に魅力的な環境だと思います。

卒業研究では、「魚肉の物性・嗜好性に及ぼす食品品質改良剤と電気圧力鍋による加熱条件の影響」について調べました。この研究を通して、研究を円滑に進める調整力、測定・調査データを読み取る分析力、先行研究の抽出と整理による思考力、研究内容を的確に伝えるプレゼン力、論文を形式に従って構成する文章力など、さまざまな力を身に付けました。また、図表・グラフ・スライド作成や先行研究論文の抽出をゼミの仲間と分担して進めるなかで、協調性や計画力、実行力も養うことができたと感じています。


― 就職活動について

病院で働きたい、人と関わる仕事がしたいという思いから、病院の管理栄養士として働く道を選びました。

 3年生の冬頃から就職活動を始め、興味のある業種のインターンシップや説明会に参加しました。そのなかで、自分が管理栄養士として働きたい場所について考え、就職活動の方向性を定めました。病院は企業に比べて就職活動の時期が遅いため、4年生の夏頃から本格的に活動を始めました。国家試験の勉強と並行して就職活動を進める中で、どちらも全力で取り組まなければならず、就職活動に対する焦りや不安を感じることもありました。

病院の筆記試験については、事前に出題内容が分からなかったため、特別な対策は行いませんでしたが、日頃から積み重ねていた勉強が役立ちました。面接では緊張するため、笑顔を意識して気持ちを落ち着かせるように心がけました。質問には明るく応答することで、自信を持って話す姿勢につながり、良い印象を持っていただけたのではないかと思います。

就職活動中は、悩んだり不安な気持ちになることも多いと思いますが、そんな時は、ぜひ周りの人に相談してみてください。不安な気持ちをすべてさらけ出すことで心が軽くなり、前向きな気持ちになれるはずです。私自身も、誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが整理され、就職活動にしっかり向き合うことができました。


 

― 管理栄養士国家試験について

国家試験対策として、過去問を繰り返し解き、解説を丁寧に読み返すことを心掛けました。間違えた問題の選択肢については、それぞれを正しい文に修正しながら理解を深めました。模擬試験が終わった後も、同じように選択肢を正しい文へ直し、絶対に覚えておきたい内容は、一冊のノートにまとめて、いつでも見返せるようにしていました。国家試験当日は、そのノートを持って試験会場へ向かいました。

国家試験の勉強では、自分に合った学習スタイルや環境を見つけることが大切だと思います。例えば、朝から勉強を始めて、夜は早めに寝るスタイルが向いているのか、一人の空間で集中するのが効率的なのか、あるいは周囲に同じように勉強している仲間がいる環境が刺激となり、より集中できるのか──そうした自分に合った学習方法を確立することが、学習の質を高めるのに重要だと思います。


 

― おわりに

私は、 医療チームの一員として、栄養面から患者さんの治療や健康維持をサポートできる管理栄養士になりたいと考えています。患者さん一人ひとりの気持ちや状況に寄り添いながら、その方にとって最適な栄養管理を提供できるよう努めたいです。また、常に新しい知識やスキルを学び、自分自身も成長しながら、より質の高いケアを提供できる管理栄養士を目指していきたいと思います。

後輩の皆さんは、今の時間を思いきり楽しみながら、たくさんの経験をして素敵な大学生活を過ごしてください。皆さんが将来なりたい自分に近づけるよう、心から応援しています!


― 卒業研究の担当教員から

とても明るく、誰とでも気楽に話ができる学生でした。おしゃべりも好きで、私とも勉強、就職の話だけでなく、料理、旅行、スポーツなどいろんな話をしたと思います。また、ゼミの後輩生にも勉強方法や就活について、アドバイスをしていました。大学でのグループ学習や活動では中心的な存在であり、主体的に動き、実行力が他の学生よりとびぬけていたと感じます。勉強も良くでき、特に臨床栄養学を頑張って勉強していました。国試の勉強もゼミ室で一人遅くまで残ってやっていた記憶があります。就職は希望をしていたところに決まり、これからは病院管理栄養士として、経験を積み、患者さんや病院スタッフから誰よりも信頼される管理栄養士になって欲しいと思います。

臨床栄養学第2研究室 畦西 克己 准教授

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